2022年7月29-31日に北海道大学学術交流会館で開かれた近接場光学に関する国際会議“The 13th Asia-Pacific Conference on Near-Field Optics (APNFO13)”にて、M1の浅瀬 有希さんがポスター発表しました。
【論文】ACS Omega (2022)
[プラズモン光過熱によるリポソームチューブの形成]
光励起したプラズモンナノ構造体上で、リポソームが融合したチューブ構造を形成することに成功しました。
坪井教授(大阪公立大学)、上野教授(北海道大学)、村越教授(北海道大学)らのグループとの共同研究の成果です。
- 研究成果のポイント
- プラズモン構造体の光熱効果によるマイクロバブルが生じると、溶液中のリポソームが熱対流によりバブルに吸い寄せられるとともに、リポソーム同士が融合する現象を発見
- 形成したリポソームチューブは光照射の間、熱泳動の影響により流動し続けることがわかった
- リポソームは内包薬物を放出することなく、チューブ状に膜融合することがわかった
- Generation of Ultralong Liposome Tubes by Membrane Fusion beneath a Laser-Induced Microbubble on Gold Surfaces
- Chiaki Kojima, Akemi Noguchi, Tatsuya Nagai, Ken-ichi Yuyama, Sho Fujii, Kosei Ueno, Nobuaki Oyamada, Kei Murakoshi, Tatsuya Shoji and Yasuyuki Tsuboi*
- ACS Omega, 7 (2022), 13120-13127.
- DOI: 10.1021/acsomega.2c00553
【論文】Angew. Chem. Int. Ed. (2022)
[NASSCA光ピンセットを用いた光圧による蛍光変調]
Hot Paperに選出されました。
大阪市立大学との共同プレスリリースを発表しました。
NASSCA光ピンセットにより蛍光性高分子鎖の光捕捉に成功し、さらに捕捉分子からの蛍光色を光圧により制御できることを見出しました。
坪井教授(大阪市立大学)、Ivanova教授(豪・ロイヤルメルボルン工科大学)、Juodkazis教授(豪・スウィンバーン工科大学)らのグループとの共同研究の成果です。
- 研究成果のポイント
- エキシマー蛍光を示すペリレン分子で化学修飾した水溶性高分子 ポリ(N,N-ジメチルアクリルアミド)(perylene-PDMA)を、ナノ構造を付与したケイ素基板(ブラックシリコン)上で光捕捉することに成功
- 近赤外レーザー光強度の増加とともに、蛍光強度の増加(捕捉分子数の増加)とペリレンのエキシマー発光を観測。
- 青色発光から橙色発光への蛍光変調を光圧により制御することに成功
- Fluorescence Colour Control in Perylene-Labeled Polymer Chains Trapped by Nanotextured Silicon
- Ryota Takao, Kenta Ushiro, Hazuki Kusano, Ken-ichi Yuyama, Tatsuya Shoji, Denver P. Linklater, Elena Ivanova, Saulius Juodkazis, Yasuyuki Tsuboi*
- Angew. Chem. Int. Ed., 61 (2022), e202117227.
- DOI: 10.1002/anie.202117227
土沢中学校にて出張講義を行いました
土屋公民館・神奈川大学交流事業「土沢中学校 一日大学生」にて、平塚市立土沢中学校1・2年生を対象にした出張講義の講師を務めました。
- 2021年度 土屋公民館・神奈川大学交流事業「土沢中学校 一日大学生」
- 2021年11月9日
- 光と物質が織りなす世界
- 東海林 竜也
- オンライン
【和文解説】ぶんせき (2021)
- 光ピンセットの分析化学への展開
- 東海林 竜也
- ぶんせき, 564 (2021), 696-702
DOI: https://bunseki.jsac.jp/ フリーアクセスです
入門講座[レーザーを用いる分析技術]に寄稿しました。本解説論文では、はじめに光ピンセットの基礎的理論、光ピンセット装置の概要・注意点を述べています。次に、光ピンセットを分析技術として利用する主要な方法として、生体分子モーターの力学計測と、顕微蛍光や顕微ラマン分光法などを組み合わせた光ピンセット顕微分光法について事例を挙げて紹介しています。
カシオ財団 第39回研究助成 採択
カシオ財団 第39回(令和3年度)研究助成に採択されました。
Webを通じての贈呈報告が行われ、研究助成金贈呈証と記念品を賜りました。
研究テーマ:光圧増幅ナノ構造体を用いたナノ物質マニピュレーション法の開発
代表者:東海林 竜也
群馬高専にて出張講義を行いました
群馬工業高等専門学校 令和3年度「連携教育-将来を考えるセミナー」にて、専攻科1・2年生、本科4・5年生を対象にした出張講義の講師を務めました。
- 令和3年度「連携教育-将来を考えるセミナー」
- 2021年10月1日
- 研究者への道と研究者の仕事の実際
- 東海林 竜也
- オンライン
- 同セミナー
- 2021年10月15日
- Optical trapping: past, present and future
- 東海林 竜也
- オンライン
【論文】ACS Appl. Nano Mater. (2021)
[油水界面を利用したナノ粒子光捕捉]
水/ヘキサンまたは水/イオン液体からなる液液界面を利用することで、溶液中のTiO2やZnS-AgInS2 (ZAIS)などのナノ粒子や金ナノ粒子の光捕捉に成功しました。
鳥本教授(名古屋大学)、坪井教授(大阪市立大学)、飯田教授(大阪府立大学)、大谷教授(北海道大学)らのグループとの共同研究の成果です。
- 研究成果のポイント
- 低開口数の対物レンズによる弱い集光でもナノ粒子を光捕捉することに成功
- ヘキサン/水界面で光捕捉した八面体金ナノ粒子とZAISナノ粒子からなる複合体が回転する現象を発見
- 水/イオン液体界面で光捕捉した八面体チタニア(TiO2)ナノ粒子に紫外光を照射すると、水中のHAuCl4の光触媒還元反応が起こり金ナノ粒子が生成することを実証(光トラッピングの化学反応応用)
- Optical Trapping of Nanocrystals at Oil/Water Interfaces: Implications for Photocatalysis
- Yasuyuki Tsuboi*, Shota Naka, Daiki Yamanishi, Tatsuya Nagai, Ken-ichi Yuyama, Tatsuya Shoji, Bunsho Ohtani, Mamoru Tamura, Takuya Iida, Tatsuya Kameyama, Tsukasa Torimoto*
- ACS Appl. Nano Mater., 4 (2021), 11743-11752.
- DOI: 10.1021/acsanm.1c02335
【論文】ACS Appl. Mater. Interfaces (2021)
[インコヒーレント光を用いた光捕捉法]
従来の光ピンセットには高強度のレーザー光(コヒーレント光)が必要不可欠ですが、チタンナノ構造体(ブラックチタン)を用いることで、高圧水銀ランプ(インコヒーレント光)でも水溶液中のナノ粒子を捕集できることを発見しました。
坪井教授(大阪市立大学)、鳥本教授(名古屋大学)、Ivanova教授(RMIT大学)、Juodkazis教授(Swinburne工科大学)らのグループとの共同研究の成果です。
- 研究成果のポイント
- 波長370 nmの微弱な紫外光(通常の光ピンセットの106分の1スケール)をブラックチタン表面に照射すると、溶液中のポリスチレンナノ粒子(直径20-500nm)を光捕捉することに成功
- 波長 480,546,580 nmのインコヒーレント光では捕捉できず、紫外光がこの高効率な光捕捉に必要不可欠であることを実証
- ブラックチタン表面にある不動態のTiO2層が重要な役割を担っている可能性があることを電磁場シミュレーションの結果と併せて示唆した。
- Incoherent Optical Tweezers on Black Titanium
- Sayaka Hashimoto, Yuki Uenobo, Ryota Takao, Ken-ichi Yuyama, Tatsuya Shoji, Denver P. Linklater, Elena Ivanova, Saulius Juodkazis, Tatsuya Kameyama, Tsukasa Torimoto, Yasuyuki Tsuboi*
- ACS Appl. Mater. Interfaces, 13 (2021), 27586-27593.
- DOI: 10.1021/acsami.1c04929
【論文】Langmuir (2021)
[集光レーザー型光ピンセットによるコアセルベート形成]
集光近赤外レーザー光による光圧と光熱効果によりポリ(N,N-ジエチルアクリルアミド) (PDEA)水溶液中にwater-in-oil-in-water(w/o/w)型のコアセルベート液滴を形成することに成功し、液滴中の高分子構造を顕微ラマン分光法により明らかにしました。
坪井教授(大阪市立大学)、麻生准教授(大阪大学)らのグループとの共同研究の成果です。
- 研究成果のポイント
- 温度応答性高分子のPDEA(Mw = 74,000, Mw/Mn = 1.1)軽水溶液中に波長1064 nmの近赤外レーザー光を集光すると、w/o/wエマルジョン様の単一液滴の形成・光捕捉に成功
- 顕微ラマン分光法により液滴中の高分子濃度をおよそ30 wt%と決定することに成功
- 下限臨界溶液温度(LCST)以上に溶液を加温し形成した液滴を光捕捉すると、拡散律速凝集(DLA)とオストワルド熟成に起因する液滴成長を観測
- Formation of Single Double-Layered Coacervate of Poly(N,N-diethylacrylamide) in Water by a Laser Tweezer
- Mitsuhiro Matsumoto, Taka-Aki Asoh, Tatsuya Shoji, Yasuyuki Tsuboi
- Langmuir, 37 (2021), 2874-2883.
- DOI: 10.1021/acs.langmuir.0c03009